メディア分析法 其の六 20170529
知識写像を利用したメディアについて
脳の中の知識ネットワーク(semantic network)は類似性と頻度で組織化されていく.
⇒経験することにより痕跡(トレース)が残る.
痕跡が蓄積されることによって成功のイメージが具体的に現れ、そのプロトタイプ(成功するイメージ・スキーマ)となっていく.
「定着させるためには繰り返し行え」というのは、このような人間の性質からいわれていること.
抽象化(スキーマ化)
複数の経験に存在する共通点を抽出
⇒これがスキーマになっていく
この処理は昔のAIは行うことができなかったが、現在のAIでは行うことができるらしい.
⇒これこそが教師無し学習方法.自分で特徴を抽出して精度を上げているようです.
スキーマについてわかりやすい資料があったので、埋め込んでおきます.overkast.jp
このスキーマ化が速いほど、ある事象について自分の過去の経験との結びつきを簡単にできる人ほど、「のみこみが速い」といわれている.
絶えず耳に入ってくる言語知識に関しては、このスキーマ化を絶えず行っているといえる.
ここで講義では、結構前のハーゲンダッツのキャッチコピー「Shall we HaagenDazs?」を例にとった.
「shall we ~ ?」と「ハーゲンダッツ」という言葉を知っている人からすれば、本来動詞が入るべき場所に固有名詞が入っていても、「一緒にハーゲンダッツを食べませんか?」みたいな意味として受け取れる.これは自分の過去の知識から推測して新しい意味を生成することができるという人間の抽象化による現象だろう.
基本レベルカテゴリ
ここまでネットワークについて書いてきたが、そのネットワーク階層の中には「使用頻度が高く」「ほかのカテゴリとの結びつきが容易」な「基本レベルカテゴリ」が存在する.
例えば机を見たとき、頭に浮かぶのはどのような言葉だろうか.おそらく、「家具」と浮かんでくる人はあまりいないだろう.大体の場合、「机」という言葉が浮かんでくるだろう.この「机」こそが、知識階層における「基本レベルカテゴリ」になっている.
特徴をいい感じで含んでいる語句が基本レベルカテゴリに属している.が、この「いい感じ」は主観的に異なるので、人によって基本レベルカテゴリは違った要素を含んでいる.
これについても「いい感じの」サイトがあったので拝借.
基本レベル効果とカテゴリー - 英語日記
タレントによるブランドイメージの生成について
タレントイメージ、ブランドイメージの階層はほとんど同じで、下から「属性」「ベネフィット」「パーソナリティ」「イメージ」の4つに分類される.その中でもパーソナリティ層がタレントからブランドイメージに転移しやすいことがわかっている.これをMeaning Transfer Theoryと呼ぶ.また、これこそがタレントによる知識写像という今回のテーマになっている.
そのほかにもタレントの信頼性が大きいほうがメッセージを受け取りやすいSource Credibility Theoryやタレントの魅力によってメッセージの受け取り方が変わるSource Attractive Theoryなどがある.
しかし、タレントのパーソナリティが転写するとは言うものの、タレントやCM(商品)の属性によって転写するイメージは異なってくる.
⇒女優を起用すると、その演技力によってCMに必要な因子を強く転写することができる.
⇒個性の強いタレントを起用すると、その個性に商品が染まっていく.
たくさん起用してしまうと、その効果も徐々に薄れていってしまう.
⇒どのCMにも同じタレントが起用されているとなった場合、それぞれの商品の個性が薄れていってしまう.メリハリがなくなる.