認知工学 其の二 20171011
前回の続き
行動主義
これまでは脳活動はブラックボックスで、刺激に対する出力、入出力関係だけを見てきたが、コンピュータの発展などにより、内部構造を観察することができるようになってきたので、計算で求めることができるようになっている。
計算方法
以前は記号処理モデルを使い計算をしていたが、この方法では学習が難しい。そこで新しく出てきたのがニューラルネットワーク。また、意味空間モデルなどでものの意味ごとにベクトルを振ることができるようになっている。これは情報検索などにも応用されている。
本題
この講義では明示意味と、意味記憶について扱っていく。
記憶には意味記憶やエピソード記憶などがあるが、記憶喪失になってしまった時、両方とも失ってしまうことは珍しい。これは、記憶のシステム自体が違うものなのではないかということにつながる。
連想実験
刺激後に対して思い付いた語句を答えてもらう実験。数をこなせば、ある程度意味記憶の結びつきが浮き彫りになってくる(規則などはわからない)。
例題
りんご
何が最初に頭に浮かんだでしょうか。色や味、などが一般的に出てくるものらしいです。今ではアップル、iPhoneとかが連想されるかもしれません。もしくはとかですかね。
では、もう少し抽象度を上げてみて、
家具
ではどうでしょうか。今度は、「椅子」や「机」など家具の種類などが出てきやすいようです。
抽象度が上がると、連想されるものの具体性は上がっていく。つまり、上位概念になればなるほど連想されるもののばらつきが大きくなっていくことになります。
そのほかにも似ているものや、反対語を連想する人もいる。が、関連語句を連想する人が多い。熟語を上げる人も多いらしい。この傾向は、熟語やことわざなどが多い日本人に特有のものなのかもしれない。
しかし、抽象度が大きくなると下位レベルの具体例が出てきやすく、もっと抽象度が上がるとまた、近接関係が多くなっていく。「平和」は抽象度の高いものに分類され、具体例は出せなくなってしまう。その代わり、反対語である「戦争」や、象徴である「鳩」などを連想する人が多くなっていく。
言い間違いをしてしまう単語どうしは、結びつきが強くなっている。近くにあるから間違って取り出しやすいらしい。子供の時「先生」を「お母さん」と言ってしまうのも、「保護者」というカテゴリ内での結びつきが強いからなのかもしれない。