心理情報学 其の二 20171013
心理検査についてもう少し
測れるものについて
問題によって計測できる能力、傾向が異なる。用途に合った尺度で測ることができる心理テストを用いることが重要になる。例えば、就職で用いられるSPIでは、行動・意欲・情緒・ライスケール(嘘をついている可能性がないかどうか)などを尺度として実施される。
しかし、心理検査には自分をよく見せようとするあまり「回答のテンプレート化」が問題視されているという側面もある。そもそも、テンプレートと化した回答で受験者の何が測れるのであろうか。
資格について
臨床心理士が心理検査を行うには数年の経験が必要となる。それにもかかわらず講義内で心理検査が成立してしまうのはなぜだろうか。それは、採点方法のマニュアルがあるから。このマニュアルによって傾向を測ることができる。
四つの窓のうち三つ
心理テストでは
- 自分が認めている面
- 人に開いていない面
- 自分が意識していない面
の三つを測ることができる。これは、昔受けた「キャリアデザイン」という講義でもたびたび出てきた「四つの窓」という考え方になる(「自分が意識していなくて周りが知っている窓」と「自分も周りも知らない窓」の二つの窓がまとまっているだけ)。
余談だが、血液型性格検査というものが一時期流行り、書籍まで出たほどだった。この検査の本質は「ヴァーナム効果」と呼ばれるものであり、誰が聞いても「あぁ、あるかも」と思ってしまうことを言っているだけだという。信頼性はない。
心理テストの特性
心理テストには二つの種類がある。それは
- 能力検査
- 行動特性
の二つ。能力検査では受検者の最大パフォーマンスを測る。例えば、IQや精神運動検査*1など。行動特性検査では、典型的なパフォーマンスを測る。
心理テストの構造
- 目的:査定なのか診断なのか
- 対象:個別なのか集団なのか
- 手法:質問形式なのか投影法なのか作業系なのか
など、いろいろな組み合わせがあるわけだが、このほかにも構成要素はたくさんある。
いい心理テストとは
次の尺度で心理テストの良しあしが変わってくる
- 妥当性
- 信頼性
- 客観性
- 実施容易性
- 採点容易性
- 経済的安価
まぁ、そりゃそうだよなって感じです。
心理テストのバッテリー化
まずバッテリー化についての説明。
一つの心理テストには測れる尺度とそうでない尺度が存在する。そこで、複数の心理テストを組み合わせることで、弱いところをカバーしていくという考え方ができた。これをバッテリー化といい、信頼性も上がっていく。大数の法則みたいな感じで認識しておけばいいかと。そして、テストに出るそうです。
就職試験が学力・適正・面接の三段階になったのもこのバッテリー化の考え方によるもの。昔は学力試験だけでとっていたらしく、「頭がいいだけの人」が多く採用されたということだ。「それは頭のいい奴を使うだけの能力がお前になかったんだ」ってだけかもしれないですが…。
心理テストの効用について
心理テストによって自分の知らなかった部分が浮かび上がってくることがある。自分をより知ることによるカウンセリング効果も見込むことができる。そのほか、カウンセリングや面接のときの判断基準になるなど、いろいろ。
心理テストに対しての批判
- 人は嘘をつくので、正確な結果を得ることができない
- 投影法などには根拠がない
確かに、その通りだと思う。ただ絵の具をベチャっとつぶした現代アートみたいなものを見てわいてきた感情が深層心理を映し出すとも思えない。
心理テストの限界
ここまでやってきたが、もちろん心理テストにも限界というものがある。
- 全体の一部しか知ることができない
- 受験者の気分に左右されてしまう
などいろいろ。前者に対しては、バッテリー化という対応策があるわけだが、後者に関しては、せいぜい「万全の状態で受験してくださいね」というくらいしかないだろう。SPIなどの自分の運命のかかった心理テストに果たして万全の状態で臨めるのかは知らないが。
付けたし
今回で一応イントロダクション部分は終わりです。次回は内田クレペリン検査を一時間使って実施していくそうです。このクレペリン検査に関するレポートが必須課題として出されているので、受けた後のヘロヘロな状態で頑張ろうと思います。
*1:型結びをどれくらいでほどけるかなど、イライラするようなもの