認知科学 其の五 20171101
手話について
手話は一般に手の動きを重視されがちだが、それ以上に非手指動作も大事になる。これら表情などが文法などの役割を担うことがわかっている。
点字
点字はテクノロジーと組み合わせることが容易にできる。
盲者は「点字に触れること」が「見ること」にマッピングされている。記憶するときには視覚野が活発になるため、一般的に成績がいいとされている。
ここまで、手話・点字について書いてきた。どこかの機能に障害を持っている人は、その機能を補うようにしてほかの機能が鋭敏になるという。また、先にも書いた通り、健常者のエゴで口話法を押し付けては決していけない。
資料映像①「私は奇跡ではない」
盲聾二重障がいの持ち主であるヘレン・ケラーの話です。彼女の話の中では「井戸端の軌跡」が有名すぎる。
井戸端の軌跡
パーキンス盲学校時代、アニー・サリバンはヘレン・ケラーの掌に水を当てながら「water」と文字を書き、彼女に「全てのものには名前がある」と発見させた。これが井戸端の軌跡の概要。見えない・聞こえないでモノをモノだと知覚することさえ難しかったヘレン・ケラーに「モノ」そのものを認識させることができたのは奇跡という他ない。
ここで気を付けたいのは、手のひらに水を当てながら「water」と書くことは、フィードバックそのものだということだ。前回の講義でも話題に上がったが、盲聾者は自分のやったことがわからない。なので、フィードバックをすることにより洗練している。声なら例えばてを 口に当てて。前回の映像では、指信号なんてのも出てきていた。
パーキンス盲学校
ヘレン・ケラーが通っていた学校。ここでは今でも、盲聾障がいの最先端の教育を行っている。それでも盲聾障がい者の言語習得は難儀なものであるらしい。椅子に座ってくれているだけでも、すごいことだろう。
パスカルピオーネの論文
この論文で書かれているのは主に次の内容。
- 盲聾者がモノに触れているとき、言語野のほかに視覚野と聴覚野が活発になっており、この作用によって脳に何かしらの変化が見られる。健常者にはこの傾向は見られない。
- 脳には、障がいに適応している能力が元から備わっている。また、この現象は生きているうちにずっと続く。
講義では、このような脳の変化を「模様替え」と称していた。
脳で見聞きしている
パスカルピオーネの論文からも、ヘレン・ケラーなどの盲聾者は脳で見聞きしていることが明らかになってきた。この機能こそが軌跡なのだという。ヘレン・ケラーも、自身の書籍「わたしの住む世界」の中で
指は視覚と聴覚をつかさどり、心でその情報をまとめる
と書いている。
そのほか
ケラー家は割と裕福で、農場を経営していた。
地元では「奇跡の人」が毎年演じられている。しかし、その内容は「井戸端の軌跡」のみだそうだ。
資料映像②「about 福島智」
日本のヘレン・ケラーと呼ばれる福島智さんについての映像です。一見普通に会話しているように見えましたが、ずっと昔の記憶で発生しているそうです。きっと、自分の中でその経験をフィードバックし続けているからこそ成せる業。現在は、指点字で外部の情報を入力してもらっていますが、この域に達するのは2万人いるといわれている盲聾者の中で、わずか100人ほど。専門は障害学です。