マエカワの備忘録的な何か

思い立ったが吉日

ARLISS2018に参加してきた 20180907

はじめに

 こんにちは.マエカワです.久しぶりの更新になります.
 さて,今回は自分が所属している研究室でARLISSという大会に参加することになったので,そのことについて書いていければいいかなぁと思っております.
 「其の一」ともあるように,続きます.ARLISS期間中は更新していければいいかなぁと思っているのでよろしくお願いいたします(かつて,CDJのレポートを0日目で終わらせてしまったことへの悔恨を込めて).そんなことはなかった.しっかり続きませんでしたね.忙しかったように思える.
 ところで,今この記事をLosAngelsで書いてます.10時間くらいのフライトで疲れてしまった.約16時間の時差.こっちのお昼の時間に更新中です.家族との連絡にも若干の気を使いながらやっていくつもりです.それでは本題へ.

ARLISSって何なのか

 そもそも「ARLISS」って何なのか.初めて聞いた方がほとんどかと思います.自分も初めて聞いて,「そんなんあるんだぁー」と思ったクチです.
 ARLISSとは,航空事業関連のことを「NASAJAXA以外の」学生が行えるように先人の方たちが整備してくださった関係で1999年から毎年開催されている大会になります.開催場所はアメリカ,ネバダ州,リノのブラックロック砂漠.ちょうど同時期に「バーニングマン」というお祭りが開催されている値としても有名ですね.普通ならば一般の人間は入ることすら禁止されている場所.そんな場所で大会を行っていきます.
 学生が開発した「ローバー」をAeroPackという団体の協力のもと,ロケットを使って高度5000mまで.そこから切り離してパラシュートを使って降下.着陸後,自律制御でゴールを目指すといった内容になります.
 かくいう今年は,20周年のアニバーサリー.何か特別な催し物もあるとのことでした.

スケジュールについて

 毎年参加している弊研究室では,

  • 年度初めにプロジェクト始動.機体を洗練します.
  • 開始日前々日にリノに宿泊.ローバーの整備などを済ませておきます.
  • 前日にガーラックまで移動して「Bruno's」にチェックイン.この日にARLISSの準備のお手伝いをします(テント設営など).砂漠での本格的な実験はこの日になって初めてできます.
  • ARLISS開催.これから先は,各自のローバーがレディーになった時点でAeroPackの方に打ち上げ依頼.ローバーをロケットに詰め,スピーチをした後に点火.上空5000mまで打ち上げを行います.

 では,今回はどうだったのか.航空券の値段をなるべく安く抑えることもあって,前々々日にリノに到着しているようなスケジュールでした.日本を飛んだのは午後18時くらい.それから約10時間かけてロサンゼルス国際空港に.それから4時間くらい待った後,リノへ飛びました.正味で日本を出てから16時間ほどの移動時間でした.
 現地についてからは,実験の繰り返し.これまでできていたことが今も問題なくできているのかどうか.何か問題があれば,その調整作業に入り,なかなかにレディーな機体ができませんでした.決して安くないお金をかけて打ち上げるわけなので,生半可なことはできない....
 結局打ち上げできたのは大会4日間のうち3日目と4日目.大会前から天候は右肩下がりだと知らされていたのですが,奇跡的に風が凪いで打ち上げることができました.

結果

 残念ながら,2回のフライトともに着地後のトラブルによってミッション成功ならず....あとちょっとでってところまではできていたんですがなんとも.運の部分もあるんで,一概に「これが原因だった」なんてことは言えないわけです(運の部分をいかに減らすのかがこの大会のコアになる部分だと感じてもいますが).ただ,着地地点からの追加実験などはちゃんとうまくいき,満足できるデータは取れたかと思います.
 失敗の原因を突き止めて,検証して,来年のARLISSに備えたいものです.原因究明が急がれる.

 ただ,そのミッションの困難さと将来性で UNISEC Award に選ばれました.記念品の20周年特別プレートをもらえたりして,ありがたかったです.評価してくださった先生方には感謝しかないです.ありがとうございます.

Night Launching / Special Event for 20 anniversary

 さっき書いた通り,ARLISSは第1回大会から今年で20年.それを祝して,これまでのARLISSの歴史だったり,そもそもなんでARLISSができたのかということを東大の中須賀先生が説明してくださいました.
 もともとはCanSatから始まったこの大会.350mL缶のサイズの期待を打ち上げ,各々のミッションを遂行していく.これが初期のARLISS.それから「Open Class」,減債のローバーサイズの大会が始まったらしいです.そのほかにも,色々経緯があるそうですが割愛.
 この大会で養うのは,プロジェクトを遂行する力.そのためには

  • Money
  • Time
  • Human Resource
  • Risk

のマネジメントが必要だと中須賀先生.弊研究室のボスにも,このプロジェクトは「トータルソリューション」であることを耳にタコができるくらい聞かされました.不具合があっても,それをリカバリできるだけの準備,機構,ソフトウェア.これが必要であるとも.特にARLISSのメイン領域である「宇宙」系のミッションでは,かけられた金額や人命などの観点から失敗は絶対に許されない.一つや二つの不具合を考慮に入れて,それでもミッション遂行できるくらいの準備をして万全を期す.これがおそらくARLISSの醍醐味でしょう.

最後に

 初のARLISS参加,結構困難な部分もあってなかなかに苦しかったです.結果も残念なものになってしまいましたが,悔しさの分だけ伸びることができると思っている自分からしてみれば,これを糧にして来年の大会には素晴らしいものを作り上げようという気持ちに切り替わっています.
 何が悪かったのか.スケジュール,心持ち,機体,システムなどいろいろ考えられますが,ここをうやむやにすることなく,しっかり分析して来年に活かす.これもこの大会の醍醐味と言えるでしょう.成功しても,この手の分析は大切です.以前参加した「能代宇宙イベント」の開会のあいさつで,JAXAの研究所の所長さんがこんなことを言っていました.

「失敗した原因を分析するのは確かに重要.しかし,成功した原因も同じように分析しなければならない」

失敗したのは事実ですが,それでもしっかりと機能している部分はあるわけで.この成功したこと(たとえ部分的でも)をしっかり見るのは,恒常的な成功につながるんだろうなぁとも.
 一応,こんな感じですかね.

 来年のミッションをどうしようかなぁなんてことも今の段階で考えています.毎年いろいろなミッションが提案されているARLISSですが,来年はどんなミッションが出てくるのかも今から非常に楽しみです.ただ,今までちょっとお利口さんなローバーしかなかったので,「ヒール役」みたいなローバーがいてもいいかなぁとも思いますけど....これは来年まで温めておきますかね....実現したらきっと面白いと思うな.

 というところで,今回はここまで.回線の関係などでまずは文字だけ.取った写真はこれから挙げていこうと思います.なんにせよ,いい経験だった.来年もよろしくお願いいたします.



読んでいただいた方に感謝を
マエカワ