マエカワの備忘録的な何か

思い立ったが吉日

心理情報学 其の四 20171027

内田クレペリン検査の活用例

 長時間労働や、安全管理を重視する職種で採用されている。電車関係は入社試験で実施しているそうです。

心理測定の基礎数理

 心理検査といっても、中身は統計学。これを知らなきゃ分析なんてできない。また、心理測定の特性に合った分析手法をとる必要が出てきます。ということで、心理測定で使う基礎数理や得られるデータの特性についてやっていきます。

人間の活動の種類

 大きく4つに分類される。

  • 生命維持(ポリグラフとか)
  • 感覚活動(五感を使って)
  • 精神活動
  • 行為・行動

 また、これらの活動を測定する方法には

  • 生理測定
  • 心理測定

の2種類がある。

生理測定

 他覚的計測とも呼ばれる。生理現象など、自分で認識できない活動を測定する。例えば、鼓動など。自分で認識・コントロールできないので、嘘をつけない。正確なデータを取ることができるため、サンプルは少人数で大丈夫。
 動作姿勢・五感(振動・温熱・触覚・嗅覚・味覚)に関してはこちらの測定方法が向いている。

心理測定

 自覚的測定とも呼ばれる。被験者が認識できる活動を測定する。測定方法は面談や筆記など。被験者は嘘をつくことができるので、データ収集は比較て簡単だが、誤差を小さくするために大人数で実施することが必要になる。
 心理状態・社会的状態・認知*1に関しては、こちらの測定方法が向いている。

測定と計量化

 一般的な計測の方法として、母集団から得たサンプルに試験を行い、その結果から母集団の特性について分析するものがある。心理測定でもこのプロセスを採用している。

データの種類

 データとは目的に応じて収集されたものである。

質的データ(定性データ)

 属性・性質・内容を示すデータ。言葉や文字、感情などがそれにあたる。主観的なデータといえるだろう。また、名義尺度や順序尺度から得られる

量的データ(定量データ)

 数値で表されたデータ。数字や数値など。こちらは客観的なデータといえる。また、間隔尺度や比率尺度から得られる
 この種のデータは正確で要約しやすいという利点だけでなく、比較することで統計処理が可能になるという利点もある。

測定から計量化へ

 「スティーブンスの分類」という考え方がある。データには4つの尺度があるとした考え方。

  1. 名義尺度:相等性を表す。区別するためにつけられたもので意味はない。背番号や電話番号など。
  2. 順序尺度:大小関係を表すもの。成績順など。
  3. 間隔尺度:等間隔性を表す。温度や暦など、その値どうしの差が意味を持つもの。
  4. 比率尺度:等比性を表す。長さや重さなど、絶対的基準(0)があるもの

この尺度は、下に行くほど重要度が高くなっている。また、それぞれに適用できる統計的手法が分かれている。

  1. モード(最頻値)
  2. 中央値、パーセンタイル(四分位偏差)
  3. 標準偏差、t検定
  4. あらゆる統計処理

基本的に、上位の尺度は「下位の尺度で適用できる統計処理」を適用できる。こうしてみてみると、2年後期の統計学の総復習が必要になるかなといった感じです。あの講義わかりやすかったんで、おすすめ。

分布

  N個のデータ (x_1,x_2,...,x_N)が得られたと仮定する。

基本的な統計処理

 平均 \mu、分散 \sigma^2が得られているとして進めていく。

 \displaystyle \begin{eqnarray}\mu&=&\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}x_i\\\sigma^2&=&\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}(x_i-\mu)^2\end{eqnarray}

歪度 g_s

 分布の歪みを知ることができる。この値が0だと左右対称。正だと左歪み、負だと右歪みになる。

 \displaystyle g_s=\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}\left(\frac{x_i-\mu}{\sigma}\right)^3

尖度 g_k

 分布の鋭さ(Q値的なもの)を知ることができる。値が3のとき、標準的。3より大きいと分布はとんがり、3より小さいと分布はへたる。

 \displaystyle g_k=\frac{1}{N}\sum_{i=1}^{N}\left(\frac{x_i-\mu}{\sigma}\right)^4

 今回紹介された中で、こんなのあるんだと思ったのは歪度と尖度の二つ。あとは相関係数標準偏差など。本当に基礎的なものだったので、割愛させていただきます。

付けたし

 とうとう数式が出てきてしまいました。これくらいならまだ何とかなりそうなのですが、最終的に多変量解析にまでステップアップするそうなので、基礎をもう一回確認しておく必要がありそうです。分散なのか普遍分散なのかなんてのは、特に注意してみたいポイント。t検査するときは普遍分散使ってたんだよなぁ。

*1:近年、認知に関しては生理測定に分類されてきているらしい。