ソフトウェア工学 其の五 20171116
AIのテスト
AIのテストはいったいどうやって行うのか。どのようなAIが良いAIなのか。よく聞くのが、AIとチャットして、違和感がなければ(人間と区別がつかなければ)合格という「チューリングテスト」。そのほかに、「AIをだます」というテスト方式があるそうだ。だまされず、適切な判断をしたAIが良いAIとなる。
大学の先生について
質問すれば、どんどん知識が出てくる。最先端の技術を持っているのは誰なのか。その筆頭候補には「大学教授」が必ずいる。企業でさえ、高額なお金を払い教授に助言を求めるくらいだ。そういわれるのも納得だろう。大学は研究機関なのだ。
ブラック化の原因
しょっちゅう出てくる「ブラック企業」のお話。その発生原因は、
- 技術がない人を雇う
- 努力で人を評価する
の二つにあるという(もちろんそのほかの要因もあるけど)。
また、日本の労働基準法は基本的に労働者にやさしい。なので、一度雇ってしまうとなかなかクビにできない。それでは企業にとって都合が悪いので、派遣社員を雇う。その結果として、転職本位の労働スタイルになっていく。
そんな日本も、これからホワイト化していくという。そのため、これまで通用していた「努力本位」の評価システムは鳴りを潜めるかもしれない。新卒の能力が重要視されるということだ。
転職
前小節にも書いた通り、これから転職本位のワークスタイルになってくる。つまり、勤めていた会社の肩書だけでは転職できない時代がやってくるということだ。会社名は関係なく、その会社でどのような成果を上げたのか。これが評価される。もっと直接的に書くと、「自分に価値がないと転職できない」時代がやってくる。また、この流れに伴って、転職市場はより活発になり、転職基準もより厳しくなってくるという。
東洋経済オンラインにこんな記事があったのでリンクを貼っておく(http://toyokeizai.net/articles/-/153053)。これからは転職しないことがリスクになる。「今いる職場環境・上司」と「時代の流れ」のギャップを敏感に感じ取り、より自分のやりたいことに近い、人間らしい職場に行ってスキルアップしろよということが書かれている。
メキシコのプロレス
先生が出張で行ってきたメキシコについてのお話。日本でいうプロレスのような競技「ルチャリブレ」なるものがメキシコにあるらしい。この競技、いい奴と悪い奴が明確に分かれており、観客全員で悪者をぼこぼこにするのだという。国民のストレス発散の道具として愛されている。某国との境界に壁を築くとか何とかの国際問題もこのルチャリブレには反映されている。
詳しい画像や動画などはないが、多分「世界の果てまでイッテQ」でイモトが体験していたと思う。放送内容が描かれた公式ページへのリンクを貼っておく(http://www.ntv.co.jp/q/oa/20150517/01.html)。動画とかは各自YouTubeで検索してください。非公式なのがゴロゴロ出てきます。
ルチャリブレのほかにも、料理の話が出てきた。なんでもタコスの味がするらしい。あと、キュウリがまずい。水はやばい。海外に行くとき、水には注意したい。水道が日本みたいに整備されているわけではないので、基本ミネラルウォーター。お冷が無料で出てくるのは世界的にも珍しいのだ。
動かないコンピュータ
日経コンピュータのコラムのこと。その名の通り、何らかのトラブルで動かなくなってしまったインフラや通信システムについて書いているコラムだ。例えば
- バグって動かない
- システムはできたけど役には立たない
など。ITproプレミアム マイページにどんなことについて書かれているのかがまとめられているので、参考に。本文は有料会員のみ閲覧可能になっている。読みたい方は、有料会員になるか、各書店で読んでください。そんで是非ご購入を(一書店員からの願い)。
ここから本編
差別化
B2Cの場合、顧客を同業他社にとられないためにも、「差別化」が必要になる。普通は、いかにして他との違いを出すのかを考えるところだが、その前にやらなければいけないことがある。それは、「差別化されていないもの」を探す。つまり、コモディティになっているものはどこなのかを分析していくということだ。同じところを知らずして、違いなど出せない。
ブランド化
ここからは、差別化の一つの方法である「ブランド化」・「ブランディング」について書いていく。これは、
- シンボルと結びついた資産
- 顧客との間の絆
のような表現がしばしばされる。しかし、具体的にはブランディングすることによって何が付加されるのか。それは、以下に挙げる3つの価値だという。
機能的価値
文字通り、提供する商品の機能にどれだけの価値があるかだ。しかし、これだけでは、他との差別化ができない。ほかの連中もマネできてしまうからだ。
情緒的価値
ざっくりいうと、どれだけ顧客を満足させることができるか。例えば、「この商品は安全である」などということ。若干機能的価値と似ているところがあるかもしれないが、情緒的価値は、「その機能によって生み出されるもの」という立場にある。機能的価値の少し上位に位置する概念だ。
信頼と期待
信頼と期待がブランドの力を高める。信頼感の喪失はアンチにつながり、期待を下回ることで信頼感は喪失する。
経験価値
講義で build a bear workshop*1 というテディベアの専門店の話が出てきた。この店では、ただ単にテディベアを買うのではなく
- クマを選ぶ
- 服を選ぶ
- 靴を選ぶ
- アクセサリーを選ぶ
- 心臓を入れる
- ブラッシングする
- 出生届を発行する
- 家をかたどった箱に入れられる
など、実に様々な工程を経てはじめて自分の手元に来る。これだけの工程を踏めば、子供にとってテディベアは「ただのテディベア」ではなく「友達」になるといった魂胆だ。このような価値を「経験価値」と呼ぶ。
ほかにも、経験価値の例はある。非日常感を提供する旅館では、顧客を日常に戻さないためにゴミ箱のビニールを見せないようにしている(もちろんそうでないところもあります)。これは、非日常感を経験してもらうことが目的である旅館だからしていることで、いい旅館はこういうところに気を配っているらしい。
フォーマット・ホルダー
文字通り、フォーマットを保持している会社のこと。前の講義でも出てきたVHSはビデオのフォーマットを保持していた。他にも、 Microsoft office は、言わずと知れたフォーマット・ホルダーだ。
一度フォーマットの実権を握ってしまえば、ネットワーク外部性からもその力がひっくり返りにくい。強力な企業になる。みんなが使っているものをユーザーは安心して使いたがるのだから。
また、技術力の高さはあまり関係ない。どれだけの人が使っているのかがフォーマットにおいてきわめて重要になる。
IoT
この話が出てきたときに、「日本企業はオープンイノベーションが苦手」という話がされた。自社の技術を外部に漏らしたくないのもわかるが、今の時代には合わないらしい。
さて、ここでは「ミシン」の話がされた。ミシンをどのようにして IoT とつなげていくのか。以下のような展開だった。
- いろいろな縫い方を使いたい
- 絵を縫いたい→複数パターンの絵を保存しておく
- 自分で描いた絵を縫いたい→スキャナーで読み取り
- 他の人が描いた絵も縫いたい→クラウド上にアップロード
- ランキング形式→上位者にはサービスを
- 他のサービスと連携→オープンイノベーション
こんな感じ。ざっくりとだが、どんなものでもIoTに繋げることができるという。*2
*1:この店では、テディベアではなく、テディベアに着させる服で利益を出している。テディベアは、勝っても2,3個だろう。このような「テディベア」と「服・アクセサリー」の関係において、テディベアのほうを「プラットフォーム」と呼ぶ。剃刀の刃と柄の関係もこれに当たり、柄の部分がプラットフォームだ。
*2:ただ、個人的な感想として、「サービス・優遇・景品」ここで一気にアナログな方向に下がってしまうとその先がつらいなと。もう少し仮想空間上にサービスを展開していって、徐々にアナログな方向にフェーズを落としていくのが理想形なのではないかなと考える。デジタル化でどこまでも行けるわけではなく、ある地点で臨界点。その先はアナログ方向に戻りつつ、ユラユラしとくのが安定なのかなと思う。どっちにせよ、そのうち「原点回帰」とか言ってアナログ方向に傾くかもしれない。